半導体の代表格であるトランジスターが発明されて70年以上が経過しました。当初、トランジスターは真空管の代わりとして微小信号を増幅することが主流でした。その後、デジタル信号を処理し、蓄積するスイッチング素子として大きく発展をし、今では我々の身の回りではなくてはならない存在となっています。そして、IoT(もののインターネット)、ビッグデータ、AI(人工知能)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、グリーンイノベーションなどの急激な発展で産業も大きくその姿を変えようとしています。その中で情報通信、メモリー、光デバイス、センサーやアクチュエータなど半導体の応用はますます増えており、またその用途も、産業や生活だけではなく自動車、環境・省エネ、医療・健康、教育など多岐にわたる分野に広がっています。また、半導体の進化も多様化して、More Mooreといわれる微細化追求だけではなく、新原理導入によるBeyond CMOSとか、新要素組み合わせによるMore than Mooreと技術が展開しています。
一方、半導体を生産するためには、極めて多くの製造工程があり、また最先端の高価な製造装置が必要で、それらを設置できる大規模工場が必要になってきました。また、チップ当たりのコストを低減するために大量生産が必要になり、ウェーハの大口径化が進みました。その結果、莫大な設備投資資金が必要であり、半導体を生産できる企業は、世界でも数社に限られてきました。今では、経済安全保障の問題まで発展しています。また、多品種少量生産には向かず、少量ではコスト高になってしまうという課題をもっています。
このような中、半導体の多様化に対応すべく、メガファブによる大量生産ではなく、少額な設備投資で多品種少量生産を実現することを目的として、ミニマルファブ構想が提案され、これを実現すべく、各種研究開発が続けられてきました。
我々は、このミニマルファブという全く新しい生産方式を確立し、我が国からプロセス革命を起こすことを目指して、一般社団法人『ミニマルファブ推進機構』を設立し、活動をしています。さらに、当機構の最大のミッションはミニマルファブの応用分野を一層拡大することにあります。会員にはミニマルファブの推進母体となってきた産総研コンソーシアム・ファブシステム研究会が平成29年4月から当機構に統合され会員規模も約150社となりました。我々は強固な推進母体として業界の皆様とともに、ミニマル普及発展のための活動に取り組んで参ります。
今後とも、ミニマルファブ発展のため、関係各位のご支援、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。